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弘前まちなか未来会議 開催報告

開催日 令和7年8月29日(金) 午後6時~午後8時30分

会 場 弘前市民文化交流館ホール(ヒロロ4階)

参加者 約150名

弘前まちなか未来会議 ~みんなで考える「中心市街地のこれから」~

 中心市街地の活性化に向けて、第3期中心市街地活性化基本計画の策定を進めており、このたび、市民をはじめ各企業や団体等からのこれからのまちづくりに向けた意見やニーズを聴取するとともに、中心市街地のあり方をみんなで考える機会として、「弘前まちなか未来会議」を開催しました。

 

弘前市長 開会挨拶・趣旨説明

市長挨拶 

 市ではこれまで、多様な都市機能や地域資源を活かし、「まちの顔」である中心市街地の活性化を図るための基本計画を策定し、賑わいの創出と回遊性の向上のため、さまざまな施策を実施してきたところであります。

 しかしながら、中心市街地を取り巻く環境は、ライフスタイルの多様化や郊外店の進出、ネットショッピングの普及などにより厳しさを増し、近年は大型商業施設が相次いで閉店するなど、活力が低下した状況が続き、中心市街地の再生が喫緊の課題となっています。

 このようなことから、「まちを作る、まちで商業活動を行う立場の方々」に加え、「まちを訪れる、まちを活用する方々」からも意見・ニーズを伺うとともに、先人達がこれまで積み重ねてきた弘前ならではの強みや魅力を活かした中心市街地の在り方をみんなで考える場として、この「弘前まちなか未来会議」を開催することとしました。

 「弘前まちなか未来会議」が、皆さまにとって有意義な時間となり、また、これからのまちづくりを共に考え、共に行動し、中心市街地の活性化、そして再生に繋げてまいります。

 

弘前市のこれまでの計画と主な事業

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 「中心市街地活性化基本計画」とは、市と中心市街地活性化協議会が連携しながら作り上げるもので、策定した計画を国に申請し、認定を受けることでさまざまな支援が得られる仕組みとなっています。

 当市では平成20年に「第1期弘前市中心市街地活性化基本計画」、その後の平成28年には「第2期計画」を策定し、計画事業の推進を通じて賑わいの創出と回遊性の向上に取り組んできました。

 第1期計画の主な事業としては、商業ビルを「複合商業施設」として整備した「弘前駅前地区再開発ビル再生事業」や、コミュニティFMなどの情報発信機能を備えた施設の整備としての、「土手町コミュニティパーク整備事業」があります。

 第2期計画の主な事業としては、令和元年に完成した、「城東閣リノベーション事業」、観光客に対応する施設の整備としての「ルネスアベニューリノベーション事業」、また、れんが倉庫美術館の建設も含めた、「吉野町緑地周辺整備事業」があります。

 これらの事業は、施設整備という側面に加えて、「弘前駅から弘前公園までの回遊性を向上させる拠点」という位置づけでもありました。そもそも、弘前の中心市街地は、藩政時代に弘前城を中心につくられた城下町が元になっています。大正時代には、東北で初となる鉄筋コンクリート造の建物でエレベーターを備えた百貨店が開店し、昭和30年代以降は、多くの大型商業施設が集積するなど、「まちの顔」として、文化や伝統を育みながら、時代の移り変わりとともに、その姿を少しずつ変えてきました。

中心市街地の変遷と現在の状況(movie)

 

中心市街地のいま

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 現在は、令和4年に策定した「弘前市中心市街地活性化ビジョン」の考え方に基き、中心市街地の活性化に取り組んでいます。

 「暮らす」「働く」「訪れる」の3つの観点から、中心市街地の将来像や方向性を定め、各施策を実施し、その中では、コロナ渦の影響もありながらも、空き店舗への出店や様々な形での中心市街地の活用など、新たな展開も見られています。

 例えば、土手町にクレープ店がオープンし、行列ができるなど、話題になりました。また、百石町にカフェ兼キャンプ用品店がオープンし、人気店となっている事例があります。

 さらに、マンションの一部をリノベーションし、地元の日常を味わえる滞在型のホテルとしてオープンした事例や、映画館だった建物を、イベントスペースとカフェバーにリノベーションした事例もあります。 

 また、市の誘致企業が、土手町の物件を新たに取得し、オフィスを開設したほか、その企業が入居していたビルに新たにオフィスが開設されるなど、近年、オフィス用途の需要も高くなっています。多くの従業員がここで勤務されるとのことであり、このことは、中心市街地が「事業活動の場」、「働く場」として活用され、平日の日中における人出が増加するという点で、「賑わうまち」に繋っていくものと考えています。

 

中心市街地のこれからについて

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 大型店の閉店などがあり、中心市街地の活力は低下しているが、人口も減少していく中で、いままでの商業的な観点だけではなく、これからのまちなかに本当に求められるものはなにか、どのようなまちであって欲しいか、改めて中心市街地の在り方を考える転換点を迎えています。 

 市では「これからのまちづくり」をみなさんと考えていくために、市民の皆さんを巻き込んだ新たな場として、この「弘前まちなか未来会議」と、その中で出てきたアイディアや事業構想を具現化していくため「まちなか未来ラボ」を開催することとしました。

 これは、市や関連する民間事業者だけではなく、市民の皆さんと一緒になってまちの将来像について考え、さらには市民発の提案事業や社会実験などもどんどん展開していくことで、市・民間事業者・市民が一丸となって、中心市街地の活性化、そして再生につなげていくものです。 

 

基調講演 『クジラのまちづくりからイルカのまち育てへ』

【講師】

 弘前大学教育学部 特任教授 北原 啓司 氏 

北原啓司

 今までのまちづくりは、大規模な再開発ビルや全国規模の小売店など「クジラ」を尊重してきたが、これからは自分たちの「場所」を持ちたいと考える「関係人口」、すなわち賢い「イルカ」を育てていかなくてはなりません。

 ちょっとした勘違いがあり「中心市街地の人のためのもの」「郊外に住んでるから関係ない」「中心部だけ優遇されて農村部には支援がない」と言う人がいます。

 本来の意味は、「まちなかをどれだけ元気にできるか」「誰もが行ってみたいと思う魅力をつくること」。弘前のまちなかは私や家族を大事にしてくれる場所でしょうか。

 私に一番影響を与えたのは、公園を掃除していた女の子の「だって、ここ私たちの場所だもん」という言葉です。この女の子のように、みなさんの街の中に場所はありますか。

 「自分には関係ない」、そんな悠長に言っている時代ではありません。大きなまちづくりを仕掛けるマネジメントではなく、共通の戦略を持ちながら、個々の「場所」で身の丈で、わくわくするような夢を描き続けていく、それがまちなか未来会議の目的です。

 これからやるべきことは、ただ単なる物理的な「空間」を作ることではなく、「場所」をしっかりマネジメントしていくことを市民と一緒に行うことです。

 

パネルディスカッション 『あなたにとって弘前のまちなかとは』

座長:北原 啓司 氏(弘前大学教育学部 特任教授)

     パネリスト:大川 誠 氏 (株式会社大川地建 代表取締役)

           平山 幸一 氏(弘前中土手町商店街振興組合 理事⾧)

                          浜田 大豊 氏(株式会社生き活き市場 代表取締役)

                          石山 紗希 氏(株式会社ORANDO PLUS 代表取締役)

                          福田 藍至 氏(株式会社コンシス 弘前経済新聞記者)

パネルディスカッション全体 

パネルディスカッション1

パネルディスカッション2

大川 誠 氏

・不動産業を経営し、空き家問題に取り組んでいる。

・まちづくりにおけるイメージは、人が集まって楽しむ「界隈(かいわい)」である。

・ある移住者の方は、弘前は「人と会える街」なのが魅力だと話していた。

・空きアパートを長期滞在型ホテルへリノベーションを行った。長期滞在者にまちなかで遊んでほしい。

・旧中央食品市場跡地に「土手町テラス」を建設を企画。定住しながらコミュニティの場所にしたい。

 

平山 幸一 氏

・大正2年創業の歴史を持つ万年筆店「平山萬年堂」を営んでいる。

・土手町には老舗のお菓子屋さんの本店が揃っていたが、時代の流れと共に少しずつなくなっていった。

・車で郊外に行く人が増え、何かしないと訪れる人がいなくなる。

・街の既存のものを活かしつつ、今の時代に合った新しい事を考えていかなければならない。

・街の象徴である「一戸時計店」が空き店舗となり、存続させるためクラウドファンディングなどを活用し残すことができた。

・街を訪れる人が「変わらないね」と、「でもちょっと変わってるんですよ」という風に、色んなものに活用していただきたい。

 

浜田 大豊 氏

・市民のための市場をコンセプトとし「虹のマート」を管理・運営している。

・市の人口減少問題を知り、約8割が地元のお客様で形成されている「虹のマート」の運営に危機感を感じた。

・「虹のマート」のことだけを考えてはいけない。弘前市がきちんと成り立ち、弘前市民の暮らしを良くしていかないと、商売が成り立たないと思った。

・令和6年に「ひとまちこみちプロジェクト」を発足。道路占用許可を取得し、遊歩道の一部を利用しイベントを開催する取り組みを始めた。

・誰かが決めたまちづくりに準ずるのではなく、自分達が使いたいように街をカスタマイズして、自由に活用していくと良いと思う。

・街のエリア全体の価値が上がると、街が存続し、商売も良くなっていくと思う。

 

石山 紗希 氏

・「人づくり」と「場所づくり」の両輪を組み合わせた事業を行っている。

・「場所づくり」として、カフェバーやゲストハウスなどが入った「HIROSKI ORANDO」を百石町で運営。

・「ひとづくり」として、移住をした人の企業事業づくりのコーディネートなど様々な取り組みを行っている。

・色々なチャレンジをする人、自分なりのチャレンジをする人が次々に出てくる街が、持続可能な街だと考えている。

・関わりの余白を作る、その前後の点と点を線にしていくようなプロジェクトを作るということを意識している。

 

福田 藍至 氏

・前職の地方紙記者時代から、中心市街地関連の記事を多数出稿。

・街は形だけではなく、そこに息づいている人たちがいて初めて熱を帯び、大きなうねりが生まれていくもの。「街とは人」なのだと気付かされた。

・中三の閉店について、明るい話ではないが、この先弘前に「こんな可能性や展望が持てるのではないか」という考え方もできるのではないかと思っている。

 

北原 啓司 氏

・中心市街地活性化ビジョンの中で、「暮らす」「働く」「訪れる」に「関る」を入れるべきだと思う。

・各パネリストから、「界隈」「シビックプライド(街を誇りに思う)」「外部空間の活用」「次の世代を育てる」「シビアなことをしっかり見ながらしっかり議論していく」など、大事なことを教えていただいた。

・これからどんな風になっていくか、しっかり妄想を持ちながら、覚悟を持ちながら、この街が大事だと言えるようにしていきたい。

 

会場からの主な意見

・ニュースや新聞などで「若者に知って欲しい」「次世代につなげたい」などと言っているが、若者に対して、皆さんが何を求めているのか知りたい。

・最近、虹のマートの雰囲気が変わり進化した理由が、浜田さんの意見や人との繋がりを聞いて分かった。今回参加してよかった。

 

今後について

 この会議を皮切りに、様々な分野の市民が、今後のまちなかのあり方を考えながら、それぞれのアイディアや事業構想を具現化していく「まちづくり共創プロジェクト」がスタート。

 9月から、専門家が監修するワークショップ形式の「まちなか未来ラボ」が始動し、全4回のプログラム構成のなかで段階的に議論を深めながら、各テーマごとの構想を事業化していくことを目指していく。今回いただいたご意見や、事前にいただいたアンケート結果については、「第3期中心市街地活性化基本計画」への反映や「まちなか未来ラボ」の中での議論など、幅広く活用させていただく。

第1回まちなか未来ラボPDFファイル(636KB)

 

「弘前まちなか未来会議」は、こちらでも詳しく掲載されています。

弘前経済新聞 https://hirosaki.keizai.biz/column/54/

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